異形種間交流

嵐の夜に帰れなくなったので旅館に泊まろうと思い,
近くの宿に入ったが同じ考えで人が集まっており,
相部屋しか無いと言われたので了承し,指示された部屋に向かってみると
なぜか異形の者たち(人型の妖怪のようであった)が部屋にいて,
相部屋で一晩過ごした
という夢を見た

死なない生徒殺人事件
識別組子とさまよえる不死
著者  :野崎まど
分類  :小説
総合評価  :★★★★★
文章    :★★★★★
内容    :★★★★★
キャラ   :★★★★

この本のテーマは「永遠の命」についてです.
「永遠の命」を持っている識別さんが殺されて蘇った識別さんと一緒に
犯人を探すという話です.
永遠の命について考察するとネタバレしそうなので下の方に分けて書きました
また主人公は教師ということで,別のテーマとして「教育」というのもあります.
特に既存の物の限界,今回の場合だと「教育」の限界であるが,
について考えてみると面白い発見がありそうで楽しそうだと思いました.

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Ph.D. じゃない

僕たちはドクターじゃない
著者  :京本 喬介
イラスト:しらび
分類  :小説
総合評価  :★★★★
文章    :★★★★★
内容    :★★★★
キャラ   :★★★

Ph.D. ではなく医師のドクターです.
特別医学生という(おそらく架空の)医療行為の行える学生を主人公にした話です.学生と医療の組み合わせという普通相容れない2つを混ぜている点がこの本の見所です.
また,比喩の言い回しが独特なのが面白いです.
始めに
「薄幸の少女がすすり泣いているような暗澹たる夜が建物全体に覆いかぶさっているように思えた」
という文章が出てきた時,とっさに読み直してしまった.
この比喩が表していることを簡潔に述べよという感じの国語のテストに使えそう.
特にお気に入りの比喩は次の文章
「あたりを漂う,まるで幽霊が目の前を通り過ぎるのを見たが半信半疑になっている,という感じの変な空気を吸い込むことは,できそうにない」
この文章の比喩から入って否定で終わるというワンツーパンチやばい.
逆に,フォアグラの作り方でチューブをムカデの足に例えたのはわかりやすかった.

世界よ,これが中二病だ!

酔って窓から身を乗り出している人を見て
「目の前で、飛び降り自殺が見たかったんだよ」
という繭墨あざか(B.A.D.)さんのセリフを思い出したので
まだまだ世界と戦えると感じた今日このごろです.

俺が生きる意味3
水迷宮のデモニアック
著者  :赤月 カケヤ
イラスト:しらび
分類  :ライトノベル
総合評価  :★★★★★
文章    :★★★★★
内容    :★★★★★
キャラ   :★★★★

前回,化け物の世界から帰還した主人公がまた新たに化け物の世界に連れ込まれる話です.
前回までの化け物との戦いとは異なり,
戦う相手が人間(?)であるため戦い方が大きく変わっている点が見どころです.
化け物は今回も現れますが,敵である人間(?)のせいで可愛く見えてくるところまであります.
ただし,個人的な一番の見所は
2巻までで化け物の世界に気づいてしまった主人公が元の世界で誰にも信じてもらえない場面でした.
世の中の中二病患者の気持ちを代弁しているような場面で,共感を覚えました.

これが世界の選択か・・・

銃・病原菌・鉄(上)
1万3000年にわたる人類史の謎
著者  :ジャレド・ダイアモンド
訳   :倉骨彰
分類  :入門書?
総合評価  :★★★★
文章    :★★★★
内容    :★★★★★

人類史に関する本です.
あまり読まないタイプの本ですが知人に勧められたので読んでみました.
内容は,なぜ人類に国家間や地域間で貧富や技術の差が生まれたのか
という疑問を追求していくものになっています.
特に現代の日本人(もしかして)だとあまりしっくりしませんが,
当時だとこの疑問を人種差別的に考える人も多かったようで,
人種差別を批判する内容がところどころに出てきます.
また,ところどころ無理やり論理を通したような箇所も見受けられますが,
文系だとこういう文章だけで説得しなくてはいけないので大変そうだと感じました.
銃・病原菌・鉄の3つの要素が貧富や技術の差を決定したという論旨なのですが,特に病原菌に関しては記述が少なく,あまり納得できるものではなかったように感じました.
下巻でより詳しく書いてあるようなので下巻についても読んでみたいと思います.
以下,各章ごとの内容を要約しました.

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文学的トンネル効果は遠い

俺が生きる意味2
放課後のリゾルト
著者  :赤月 カケヤ
イラスト:しらび
分類  :ライトノベル
総合評価  :★★★★★
文章    :★★★★★
内容    :★★★★★
キャラ   :★★★★

進化論をテーマにしてるだけにいつか言うだろうなと思っていたことを大体言ってくれた
前の巻の伏線回収と言った色合いが強いです.
基本的に伏線はあからさまなものが多いのでしっかり回収できていることを確認できます.
とはいっても,まだ回収されていない設定やら伏線が大量にあるので,今後にも期待できます.
全体としていい作品なのだが,
取ってつけたようなタイトル回収が少し残念でした.
タイトルに惹かれて買っただけに逆につらいです.
「書く前に先にタイトルを決めてくれ!!」
というのが最近の小説にいいたいことです.
タイトルとは物語のコンセプトであるべきであって,
普通コンセプトというのは本の枝葉末節が決まる前にすでに決まっているものでは無いのだろうか?
なんか後から目につくようにするためだけにタイトル決めるというのは本を選ぶ側からもつらいです.

人生は閉区間か?

人生
著者  :川岸 殴魚
イラスト:ななせ めるち
分類  :ライトノベル
総合評価  :★★★★
文章    :★★★★
内容    :★★★★
キャラ   :★★★★★

このタイトルでギャグです.
理系・文系・体育系の女子が何故か一同に介して人生相談をする学園モノです.
自分が理系というのもあるかもしれませんが,
やはり最も見どころなのは理系女子の遠藤です!
思考が自分とかぶり過ぎてつらい.
誕生日とか覚えない系男子です.
いつも友達からのメールで自分の誕生日を知らされています.
あと,自分の年齢も覚えていない.
更に昨日食べたものは何ですか?と聞かれよく
「なんらかの炭水化物だ」
と答えてしまいます.
自分は典型的な理系なんだなと考えさせられてしまう一冊でした.
ちなみに,文系のふみは文系というよりただの歴史オタクっぽいです.
最後に梨乃のこのセリフで締めくくりたいと思います.
「かのエジソンも小さい頃は勉強ができなかったという
それでも懸命に努力して,偉大な発明王になり
そして死んだ.
人間はどうせ死ぬ」

あれ?なんで生きてるんだっけ??

俺が生きる意味1
放課後のストラグル
著者  :赤月 カケヤ
イラスト:しらび
分類  :ライトノベル
総合評価  :★★★★★
文章    :★★★★★
内容    :★★★★★
キャラ   :★★★★

最初に本屋でタイトルを見て,「ふぁっ?」ってなった本です.
読み方は中2的に「俺が生きる意味(レーゾンデートル)」だそうです.
すごいタイトルだと思ってみたら「キミとは致命的なズレがある」の作者の作品だったので衝動買いしました.
「キミとは致命的なズレがある」も引き込まれる文章でしたが,今作は更に洗練されている印象を受けました.
少し設定が多く,統一される印象をこの巻では受けなかったので今後これらがどういうふうにまとまっていくのかが非常に気になります.
また,序盤の文書の運び方と独特の終わり方が非常に良かったので,
自分でも文章を書くときは参考にしたいと思いました.

ぎょぽーん

って感じで無駄に日々を送っている.
これが燃え尽き症候群ってやつなんだろうな

きまぐれロボット
著者  :星 新一
分類  :ライトノベル
総合評価  :★★★★
文章    :★★★★
内容    :★★★

ショートショートです.
非常に感想が書きにくいので気になった話の感想を書きます.
この本の中の話の一つ
「後からついてきて日記をつけるだけのロボット」
が個人的にはすごく欲しいです.
単純な事でも日々の生活は割と豊かになるのだけれど,
こういうロボットが実現しないのは需要が無いのと大人の都合なんだろうなと思っている.
でもグーグル・グラスとか出てきたしそのうち出来る実現するかも
別の短編での猫のセリフ
ねこ「(二本足で歩く彼らは)自分たちのことを人間と呼んでいるわ.私達のドレイの役をする生物よ.まじめによく働いてくれるわ」
というのが個人的にはツボでした.
こういう短編を書く人達って多分その何倍ものアイデアがあるんだろうけどそのうち本になるものとならないものの境界はどうやって決めてるんだろ?
とか最近疑問に思っています.

たまに自分の生きる力を試してないと不安になっちゃうんだよ

ボス「2週間後に(英語で)発表しない?」
俺「イイデスネ」
とか安請け合いしちゃう系です.
生きる力の限界を感じた.

なれる!SE10
闘う?社員旅行
著者  :夏海公司
イラスト:Ixy
分類  :ライトノベル
総合評価  :★★★★
文章    :★★★★
内容    :★★★★★
キャラ   :★★★★

今回は社員旅行とか妹の話とかの4つの短編です.
地味に社員旅行への恨みが伝わってくる内容だった.
実際に旅行とか飲み会はたまにあるからいいんだよね.
工兵の妹は勢いで富士山に登るという割と現実離れしたキャラクターで,このシリーズでは貴重なキャラなので今後も登場を期待しています.
あと,ASAP=as soon as possible って略語初めて聞いたけど,辞書にも載っている普通の言葉なのね.
では,
イサナ・ミスヤオ・ネル・エカ・ウモ

問題:世界は変わりません.自分は変えられます.さて,どう変わりますか?

答え:新世界の神になる

この社会で戦う君に「知の世界地図」をあげよう
池上彰教授の東工大講義
著者  :池上彰
分類  :現代史
総合評価  :★★★
文章    :★★★
内容    :★★★

某工大の教授の本第二弾です.
先日,ラボの人達に紹介してきました.
前回は(戦後)日本編で今回は世界編か?と思わせつつ,
実際には日本を中心にした世界編という印象でした.
また,目次はキャッチーなことが書いてありますが,
あまり内容とタイトルが一致していないので過度な期待は禁物です.
それを差し引いても面白い本ではあるので少し損をしていると感じました.
さて,内容はアジアが半分以上を占めており,1/4がアメリカ,残りがその他と言った割合で
主に北朝鮮・韓国・中国・台湾ですね.
全体を通して思ったことは国のトップの人達はいろいろ面倒なしがらみを
大量に背負って大変そうだなということでした.
国家間の取り決めは条約の解釈や国民などには知らされていない密約など様々な要素で
曖昧になっているところを見ると,やはり,厳密に取り決めると世界がうまく回らない
(もしくはトップに立つ人の利益にならない)んだろうなぁと思いました.