世の中には自分で気づかなかったら,それで終わりってこともあるんすよ

人は定められたものから変われないということを感じつつ,
生きるということは戦うことなんだなと思う今日このごろです.

B.A.D. 7
繭墨は人形の悲しみをかえりみない
著者  :綾里 けいし
イラスト:kona
分類  :小説
総合評価  :★★★★
文章    :★★★★
内容    :★★★★
キャラ   :★★★★

このシリーズは毎回内容が濃いので7巻まで来ると,
非常に多くの人間関係があり,登場人物間の関係や思いが面白くなってきました,
今回は久々津再び,神再びです.
そして、重要そうな新キャラも出てきて、狐の物語りから、狐を発端としてはいるが、
新たな物語に焦点が移ってきている。
そして分裂した神は今後の伏線っぽいけどどうなんだろうか?
そして今回は髑髏を抱えた少女ヒルガオ,人形の異能使い絡繰舞姫,犬の久々津
という重要そうな登場人が連続ででてきました.

そしてB.A.D.は相変わらず,様々な視点から違う形で同じことを表現することに良さがあるなぁと感じています.
今回は前回に続き「人の幸福は人それぞれ」ということ,そして「人は定められたものから変われない」ということを取り上げています.
特に後者は,小田桐くんが何度失敗しても懲りないところで,今までも何回も言われてきましたが,
今回は久々津の関係で別の側面からでてきました.

BAD7
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繭墨は秘密を漏らさない.娯楽は食い潰すものだ.
人に話すものではない.彼女はそう認識している.

少女が綺麗な髑髏を持って事務所を訪れる.
依頼人が少女を探しに来る,弟の死の真相を依頼しに来る.
「てふてふ,てふてふ,ひらひら,ひらひら,かわいそ,かわいそ,ね」
この言葉に反応して首吊死体の形になる.情念が肉を持ち形をとったもの.
埋められた死体から咲いた花には無数の芋虫が湧いているはずだよ.怪異にしては美しいほうだね.
依頼人の弟が少女を殺すたびに蝶は増えていき,最終的に彼を自殺に追い込んだ.

残された少女は彼の頭蓋骨を切り取り持ち去った.
少女はそばに居るように男に命令されており,
その命令を忠実にまもり,男が死んだ後もそばにいようとしたが,
餓死しそうになったため頭蓋骨を切り取ることで,命令を守りつつ外にでることにした.

少女は雄介がヒルガオと名付け,預けることにした.

狐が目覚め,繭墨家の座敷牢に幽閉された.
座敷牢:繭墨家の確変を目論んだ当主が,初代繭墨あざかを閉じ込めた場所
繭墨家本家:長野県

子宮じみた場所で場所で僕は狐を殺さないと決めた,
憎い人間を殺せなくて,何が悪いと言い切り,彼を連れ帰ることにしたのだ.
その責任を負うと,決意した.
それこそ,僕の人生をくれてやると断言したはずだ.

絡繰舞姫:狐を貰いに来た.異能の人形師.一子相伝の家系で1人を除き他の子供は売りに出す.
絡繰家の家系の一族は髪から徐々に色素が抜けていき,早死にする.
狐が以前生み出した「白いヒトガタ」に興味を持っている.
久々津:もともと繭墨千花につかえていたが,今は舞姫につかえている

「貴方の結論は知っています.ですが,私の結論は,それに影響を受けません.
私は欲しいものは欲しい人間であり,得たい物は得る人間です.」

久々津の話
久々津「マゾヒストではありませんよ・・・俺は,ただの犬です」
雄介「つまりただのマゾじゃなくて,筋金入りのマゾだと.なるほどなー」
久々津の演劇「犬の話」
「客人の退屈は名折れだろう.道化の,役者の,歌い手の」
「それならば,君のためだけに,新しい演目を捧げよう」


娘は行き倒れた人間を犬として飼っていた.犬として飼われていた人間は良い飼い主に恵まれ幸福だった.
しかし,ある日それが村人にバレ,昨日まで笑い合っていた村人たちに糾弾され,娘は殺された.
そして,飼われていた人間は彼女の後を追い自殺した.

村人は犬の幸福を台無しにした.
犬は犬以外にはなれない.非道な主のもとを逃げても,犬は人には戻れませんでした.
だから,娘は犬を犬として愛でた.犬と娘は幸福だった.
村人たちは娘を非道に殺しただけだった.
久々津「人は既に定められた物以外には,なれませんよ.」

繭墨「犬は自身を犬と認識しない.あの時そう言ったというのに,ね」


繭墨:チョコレートで作られた道化師を足と腕と首をもいで食べる.

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「神」撲滅作戦
目標は白雪に気づかれないうちに「神」を一掃すること