言葉は"くびき"

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「レトリック事典 」
著者; 佐藤信夫, 佐々木健一, 松尾大執筆

分類     : 辞書
総合評価   : ★★★
文章     : ★★★★
内容     : ★★★★

心理学のレポートで文彩表現の心理的効果についてのレポートが出たので、図書館でこんな本を借りてきた。
(文彩表現ってのは修辞技法のこと)

言われると分かるような方法でもしっかり分類してあるので新たな発見とかもあった。

こういう本を読んでおくと何かものを書くとき参考にできそうだった。

ところで、その心理学のレポートですが、

テーマは何と「ネット掲示板における文彩表現」 \(^o^)/

ん?ネットスラング?
ちがう!!文彩表現と呼べ!!


というわけで、レポートの一部を続きに記載

現代では、効果的ではあるが使うと堅苦しくなってしまうような文彩表現だけでは十分ではない。
ネットまたはそのほかのメディアの発達に伴って、さまざまな新しい言葉が作られ、それに伴って数々の文彩表現が作られたと考えるのが普通である。
そこで、ここではそういった文彩表現を集め分類してみたいと思う。


間違いによる文彩表現


ある人物の言葉の間違いから生まれ、それが一般に広がることによって生まれた。
言い間違い・聞き間違いから生まれるということも少しはあるかもしれないが、それらは誰が言った言葉かというのがすぐに特定できてしまい。それを広めるということが人の間違いをやり玉にあげるような行為につながってしまうのであまりなかったのかもしれない。しかし、匿名性の高いネット上ではそのようなことがなくなったため多数の言葉ができたのではないかと思われる。
ネットで最も多くの会話がなされるのは掲示板である。そこでは独特の表現を用いた会話なされており、その中には当然間違いから生まれた言葉が存在していた。


打ち間違い
まず、ネット上のやり取りはキーボードからの入力なので、タイプミスということが考えられます。
例として「オモリ」というのがあります。これは「おもろい」と打とうとして「o」を入力しなかったという場合です。このような言葉がいくつかありました。

~しる
~しろ(命令形)
聞いてみら
聞いてみろ

これも単純な間違いから生まれたものですが、実際に使われているのを見ると、意外に重要な役割を果たしていることが分かりました。このような命令調の言葉を文面だけ見るととてもきつく言っているように聞こえてしまいます。そこをあえてこのように書くことで相手に命令しつつも少し冗談めいた微妙な表現が可能になるのではないだろうか。

漏れ

ネット上で一人称を使うときは少々考えてしまうものです。「私」と書くと固くなってしまうし、「わたし」「ぼく」などは少し幼く聞こえてしまいます。かといって、掲示板上で俺と書くと少し目上から言っているように聞こえてしまいます。そこでこのようにぼかして言うことで和らげているのだと思われます。また、新しい言葉にすることで、男性女性の区別をなくし、より匿名性が高くすることができるという効果もあるようです。

シリアル
シリアス=真面目な


アッー
「アーッ」と驚いたときの表現より


もろされろ
「殺されろ」

これは先の命令形の例と近いのですが、ネット上で直接言うと相手の怒りを買いかねない言葉をこのようにぼかすことで、本気で言っているわけではないということを示すことができるのだと思われます。

希ガス
気がする


変換ミス・変換によるもの
コンピュータではひらがなで入力したものを漢字に変換するのが一般的です。しかし、その漢字変換は完全なものではありません。それ故、まちがった変換のままネット上にあげてしまうこともあります。そこから生まれた表現もあります

安置=anti-
乙(お疲れ様)
うp(up)
おk


オマエモナー=お前もな
氏ね
死ね
行く
逝く
寝る
練る

日本語以外の言語や専門用語から
これは、ネットそのものというよりは、ネットによって情報が簡単に手に入るようになったり、またはパソコン用語そのものが広まることによって生まれた表現と言えるでしょう。

テラ~
メガ~

このような表現を用いることで「とても大きい」などというよりも大きさが伝わり、かつ「像のように大きい」などと長く書く必要もない。しかし、やはりこのタイプの表現は少なく、一般的で理解しやすくかつ適切に表現できるような言葉でなければならないようです。少々意味が難解なものとして

ぬるぽ
無意味なこと
プログラミング用語の「NULL pointer」の略

このようにあまり一般的でない専門用語になると、特定の場所では使われているがそれ以外の場所では見かけなくなってしまう。


日本語の特性を生かしたもの
ゴメソ/スマソ
「ン」と「ソ」が似ていることから

ネット上で難しいことの一つに謝罪があります。本当に大きな失敗をしてしまった場合は「ごめんなさい」や「ごめん」のように書けばいいが、その場ですぐ直せるような本当に軽い謝罪の場合このように表現することで表すことができる。手軽なネットならではの言葉ともいえる。


コロヌ/
「コロス」という意味

これも、直接表現するとあまりよくない言葉を強くぼやかす表現。

極端な省略
過去にも省略によってできた文彩表現はありましたが、それらはどれも一音変わるだけといった小さな省略でした。しかしネット上ではすべてキーボードで打たなくてはいけないため、少しでも手間を省こうとかなり大胆に省略されているようです。

おまいら(お前ら)
おせーろ(教えろ)
バーロー(バカ野郎)
サーセン(すみません)
きぼーん
希望する、おねがいします
いてらー :
「いってらっしゃい」
(ry
(以下省略

これらもやはり、語気を弱めることができる


このように見てみると、やはりネット上ではネット上で不便になるようなことを補うような効果をもつ文彩表現が作られているということが分かります。そして、それらの言葉を作り出すソースもタイプミスや変換といいったコンピュータならではのものになっています。
このほかにも様々なタイプのものがあり、従来と同じ比喩を利用したものも多く見られました。また、今回は取り上げませんでしたが、漫画・テレビ番組・小説・芸能人の言葉から生まれた表現や顔文字を使ったもの、あえて伏せ字を入れるなどの表現方法もあった。
また、出所や詳細が不明なため分類はできなかったが特に面白いと思ったものをあげておこう。

キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!
詳細不明だが、確かにインパクトはある

笑うという感情表現は難しいものであるが、それを様々な表現をもってカバー
(クスクス
(プ
(笑)
(藁)
wwww

漢字を分解した表現
『悟り』→『小五ロリ』

キーボードの文字の配列に沿った入力
くぁwせdrftgyふじこlp;
慌てている様子

参考
さまざまな掲示板で用語がどのように使う割れているのか確認
2ch
http://2ch.jpcash.net/yougo3.html
2典Plus
http://www.media-k.co.jp/jiten/