「小説」カテゴリーアーカイブ
推理小説の免罪符
本屋さんで、「おはなし推理ドリル」なる小学生向けの読解力向上用の教材があって、すごいよくできた教材だった。 最近は推理小説で、作者の気持ちとかのふわっとした話ではなく、 トリックなどの明確に正解のある問題を解くことによって読解力や論理的な思考を楽しく、養ったりできるのかーと思って
著者名は早坂吝(はやさか やぶさか)と読むらしい。 殺人事件の名前を推理するという新しい趣向の推理小説です。 特に、前書きがかなり面白いので、ぱらぱらと前書きを読んでみて買うかどうかを決めるという買い方をお勧めしたくなる一冊でした。
殺人事件の内容的には、あんまり推理可能という感じはしなかったですが、 あらかじめ前書きなどで予防線を張ることによって反論を封殺するという意味でも面白い趣向だと思いました。
若者との文化の断絶
若い人の話とかに徐々についていけなくなりつつあるけど、 ロリコンをこじらせると若者文化の影響を受けて理解できるようになるのだろうか。 あと、最近HMD(ヘッドマウントディスプレイ)を買ったのでVRを試してみたら、思った以上に臨場感があってびっくりしました。
テレビ室(壁面のスクリーンによる視聴者参加型のメディアらしい)なるものや映像コンテンツによる情報のが広まり、 加えて情報統制のようなことも行われているというディストピア感のある世界観です。 本の必要性が少なくなった結果、本を所持しているだけで捕まってしまい、本も焼かれてしまうというものです。
だいぶ、象徴的な物語で、冷静になると、なぜ焼く!?普通に処分しろよって思うような部分もあります。 おそらく当時の状況に合わせた風刺なのでしょうが、現在にもある程度当てはまるのでしょうか。
最近となってはVRなんかも出てきて映像コンテンツがほとんどになりつつありますが、 依然として本も重要なメディアであることに変わりはないという印象ですね。 むしろ、テレビの方がネットとかユーチューブの登場で危ないというのが現実ですね。
人々が情報統制を嫌ってこういった媒体を選択していくことに人類への可能性を感じる今日この頃です。
Vtuberビッグブラザー
現実の社会って、二足す二を四だといえる自由ありますかね。
思想警察などが出てくるディストピアものの代表みたいな作品です。 いろいろ面白い要素が出てくるのでそれぞれの感想を列挙してみたいと思います。
- テレスクリーン
映像の配信と監視を同時に行う装置らしい。現実だと監視カメラとスクリーンで別々の機械としてあるけど、どうしてこれらをくっつけようと思ったのかは気になる。 - 二分間憎悪
「人民の敵」の映像が流される番組で、言論の自由などを主張するエマニュエル・ゴールドスタインや戦争の敵国などを同時に流し、人々がこれらを罵ることで、恐怖や憎悪といった感情を高ぶらせるためのもの。 あまり意識したことなかったけども、なかなか面白いアイデアだなと思った。現実でもこういうことを考えて政治番組みたいなのってデザインされてるのかな。 ちなみに、エマニュエル・ゴールドスタインが実在するのかは結局わからないという結論でよかったのかな・・・ - プロレ
社会のシステムは、プロレと党員という二階層に分かれており、党員は行政等の役割につき、厳しく監視されており、プロレはそれ以外の監視されず搾取され低い生活水準の生活をしているという社会です。 最後まで、あまりプロレの活躍はなかったけども社会システム的にプロレを監視しないで放置するっていうのはどうなんだろと思った。 - 二重思考
「二重思考とは一つの精神が同時に相矛盾する二つの信条を持ち、その両方とも受け容れられる能力のことをいう。」 たまに、政治家でダブルスタンダードだな。と思うことはあるけども、逆に、これを人民に教育するっていうのは発想の逆転だなと思った。ある意味この作品の世界観を成立させるうえでなくてはならない考え方なのかなと思った。 まあ、これを認めてる時点でかなり多くの命題がまかり通ってしまうので、「二重思考」便利すぎるなという感じはした。 - ニュースピークス
思考は言語に制約される。という考え方をほんとにやってみたという言語。政策に都合の良い文章は自然になり、都合の悪い文は不自然になるといった言語で、巻末にかなり詳細に解説があるので、誰か文章とか正確な再現みたいなの作ってそう。
世の中世知辛いのじゃー
最近、よく見かけるようになった超能力+推理ものです。 今回は制限アリの瞬間移動能力を使って殺人を企てるという犯人視点での物語というのが少し面白いところです。 特に、主人公はカリスマ的な犯罪者ではなく、 素人かつヒモの男性で、かなり多くのミスをしているのが面白いところです。 多くのミスや偶然の中で真実がどうなっているのかを推理していくという進み方になるので、 普通の推理小説かと思うと少し肩透かしを食らってしまうかもしれませんが、少し変わった小説が読みたいといった人におすすめの一冊です。
没個性な殺人鬼
引退して体を動かせなくなり入院中の検視官ライムと彼に指名されて急遽検視を手伝うことになった女性巡査サックス(父親はパトロール警官としてずっと務めていたため万年巡査と呼ばれていた)がタッグを組んで犯人(ボーンコレクター)を追う話です. 推理小説にしてはちょっとキャラ盛りすぎだろっていうぐらいの個性あふれる主人公たちが見どころです.主人公たちのキャラが立ちすぎて犯人のボーンコレクタのキャラがだいぶ薄くなってしまっているのはご愛嬌.
主人公は安楽椅子探偵ですが,サックスと協力することで割と動き回り,かつ,検視のやり方や心得のようなものも詳細に書かれているので,検視版ホームズといった印象を受けました. ホームズ系が好きな人(シャーロキアンがこの本を好きかどうかについては言及しない)は楽しめる一冊かと思います.
タイトルが主人公側ではなく犯人側なので推理小説っぽいタイトルだけど,
「万年巡査の娘と死にたがりの検視官」みたいにするとラノベっぽくなるなとどうでもいいことを思っていました.
人生生きると決めた時がポイント・オブ・ノーリターン
最近,仕事で Adobe illustrator を使っていると文字入力のデフォルト文が「とかくに人の世は住みにくい」とか出てくることに気づいて,見るたびにほっこりしています.
基本的には最初から最後まで,サイコパスがヒャッハーする話です. 頭の切れるダークヒーローものが好きな人なら楽しめる一冊ではないかと思います. ライバル的なキャラクターはほぼおらず,ただひたすら主人公が自滅?していくサイコパス的には少し切ない話です.
こういう物語のサイコパスって大体天才設定が多いけど,実際にそこまで天才じゃないサイコパスがいたとしたら大変だろうなと想像していました.
ちなみに,一番の笑いどころはさんざん人を殺しておいて,
「ここがポイント・オブ・ノーリターンだ.
いよいよ狂気の殺戮が始まる」
え?まだ始まってなかったの?となったところでした.
すごい!
「このミステリーがすごい」に選ばれていましたけど, 確かに「すごい!」と言いたくなる作品でした.
いわゆる「誰が犯人なのか」というのを推理するタイプではなく, 暗号を推理するタイプのミステリーとして,近年の代表作になりそうな作品でした. 暗号は「いろは歌」を題材にしたもので,「いろは歌」が一つのジャンルになっていて,その中で様々なバリエーションがあることにも驚きましたし,この小説のために用意された「いろは歌」は非常によくできていて感動すら覚えるものでした. 内容としては,明治時代に実在した「黒岩涙香」が残した暗号を解きつつ,殺人事件の犯人を囲碁棋士が探偵役となって推理するというもので,暗号や犯人捜しだけでなく,囲碁や連珠(詰将棋)に関する知識やその歴史についても多く触れられていて,勉強にもなる本でした.
率直に言って覚えていないのだ、あの晩、実際に自殺をしたのかどうか
芥川賞ということで読んでみました. 普段特に芥川賞という理由で本を読んだりすることはないのですが,軽く調べたときに「山下澄人の作品は反小説的な小説といえるだろう」という意味不明な感想を見て興味を持ちました. ちなみに,「反小説的」とは,「これらの小説は、読者を受け身の享受の状態にとどめる従来の小説と異なり、読者の自由を尊重し、それに呼びかけて、読者とともに世界に問いかける文学なのである。」 (反小説) なるほど,わからん.
というわけで実際に読んでみると,かなり技巧的な文章が多いように感じました.こういう技巧的な文章は下手に書くと意味不明になりそうな気もするけど,そうならないようにぎりぎりのところで書く文章能力に感動しました
「しんせかい」と「率直に言って覚えていないのだ、あの晩、実際に自殺をしたのかどうか」の二作品が収録されているのですが,「しんせかい」では割とストーリ性があるのに対し,「率直に言って覚えていないのだ、あの晩、実際に自殺をしたのかどうか」ではでは心情表現と技巧的な文章に全振りしている感じで,良いバランスになっていてよい組み合わせでした.
蛇足ですが,「しんせかい」のラストシーンの次のページで「率直に言って覚えていないのだ、あの晩、実際に自殺をしたのかどうか」という文がいきなり出てきて,「なぜ,自殺したし!!」ってツッコミを入れてしまった人は自分だけではないはずと信じています.
想像力がない人間ほど沸点が低い
来年度からかなり毛色の異なる人たちとかかわることが多くなりそうなので,相手のバックグラウンドを想像し,尊重しつつ過ごす必要がありそうだなと思う今日この頃です.
推理小説なので一応殺人事件が起こって,それの解決を目指すというプロットですが, その実は,ホテルという特殊な環境での出来事や小さな事件の方が印象的でした.
ラノベ的にタイトルをつけるならば,「警察官の俺が東京の高級ホテルのホテルマンとして潜入捜査をしてみた」という感じでしょうか. ホテルマンに化けて潜入捜査する中で,ホテルの従業員としての接客に悪戦苦闘したり, 逆に,刑事としての観察眼が生きる場面があったりとドラマ的に面白い一冊といえます.
また,殺人事件に関しても,ホテルで得たヒントをもとに,殺人事件を推理していくところなどは見所です. さらに,潜入刑事とその教育係であるバリバリのホテルウーマンとの最初はちぐはぐなところから徐々に打ち解けていくところも見所の一つかと思います.
最後に,個人的には,飲み会で空気を読んで友人とその彼女をおいてその場を去る理由として「娘が急に彼氏を家ににつれてきたそうです」っていうのを人生で一度行ってみたいセリフに登録しました.
思い出の「思い出のマーニー」
「思い出のマーニー」の映画が2014年だということに衝撃を覚えている今日この頃.
その時,映画を見たのは偶然だったので,よく覚えています.
もともとは,新海誠の一括上映を見に行こうと思っていたのですが,電装トラブルで中止になり,
何もせずに帰るのもあれなので代わりに「思い出のマーニー」を見たという経緯でした.
その後,小説を読もうと思っていたのですが,やっと,思い出のマーニーの小説版を読むことができました.
小説と映画を両方見ましたが,基本的に物語の大筋は同じでした.
概要としては,序盤は,周囲と距離を置いていたアンナが,田舎に移り,マーニーと出会う.
その後,マーニーが実在するのかどうかすら最初はわからないが,マーニーとの出会いや話題を通して,アンナが次第に周囲と打ち解けていくというストーリーです.
最終的には伏線なども回収されており,物語としてのまとまりは非常によい作品でした.
初めに,映画を見たときは,ミステリー脳なので,マーニーが何者なのかというのを考えながら見ていました.
映画では小説版の細かい部分などを削り,舞台を日本にしていたりと見やすさへの配慮がかなり行き届いている印象でした.
また,小説版ではなかった(金髪でドレスを着た)人形を持ったアンナなどの回想などでミスリーディングをしている点もミステリー好きとしては好印象でした.
一方で,アンナの「普通の顔」といった周囲を拒絶している描写は小説版の方が強く出ているという印象を受けました.
「数理論理学少々」を「数理論理学少女」と空目した
事件を数理論理学的な視点から解決するという独特な一冊です.
単純な推理小説としてみても,読者も推理可能な,いわゆる本格推理小説です.
比較的短く単純化されているにもかかわらず,簡単には解けないような事件を扱っており,推理を楽しみながら読むことができました.
また,数理論理学的な視点から推理をするという,推理の方法論自体を描くという点は,古くからあるホームズ等の推理小説に通じるところをを持ちながら,数理論理学というそういった探偵にはない新たな道具を使うところに新しさを感じる一冊でした.
むしろ,推理と論理学ってかなりつながりの深い二つなのに今までこういった本がなかったのが不思議なくらいでした.(私が知らないだけかも)
さらに,物語全体を通して,「伏線回収の掟」がしっかりできており,面白いなと思ったのは「伏線が回収」できていないというのを作中で指摘ことによって,「伏線を回収」するところでした.
数理論理学と推理を結び付けようとすると実際難しいところも多々あるような気がするにもかかわらず,
この本ではすごくきれいにまとまっており,推理小説好き,特に,今までなかったような推理小説を読んでみたいという人にはお勧めの本でした.
=========== 以下 推理メモです.メモなのでぐちゃぐちゃです ===========
=========== ネタバレを含むので注意 ===========
数理論理学について
=====
吹き漆の座卓の上に,一枚のメモ書きが残されていた.
論理式の充足問題→私は台所の戸棚の上にいる
硯さん
超高偏差値女子高校→T大,論文がフランスのパリ数理科学財団の会員の教授の目に留まり,請われてフランスの大学の研究機関へ,論文の引用件数が日本人で年間トップ
フランスの金融機関に就職
退社してセミリタイア生活
硯さん曰く論理学は「すべての人間の思索活動の頂点に立つもの」
「構文(シンタックス)は理解している.意味内容(セマンティクス)が理解できない」
「論理学を学べばもちろん論理的思考力も鍛えられるけれど,目的はそこじゃない.論理学の究極の目標は,人間の思考を支配する法則を明らかにすること」
仮言三段論法
A->B B->C => A->C
定言三段論法
A=B B=C => A=C
普遍記号学
ライプニッツが二十歳で書いた「結合法(デ・アルテ・コンビナトリア)」
1928年「現代数学の父」ともいわれる著名なドイツの数学者,ダフィット・ヒルベルトは,数学のどんな命題も真偽を証明できる,矛盾のない数学体系を構築する計画を提唱した.それがいわゆる「ヒルベルト・プログラム」.
けれどその計画に否定的に答えてしまったのが,クルト・ゲーデルの「不完全性定理」.
1931年,ゲーデルはこの「不完全性定理」を証明することで,ヒルベルト・プログラムが達成不可能であることを世に示してしまった.
「私は美人だからモテる」という文章は二つの命題からの思考プロセスの短縮形
– 私は美人である
– 美人ならばモテる
ヒルベルト公理系
ウカシェヴィチの公理:3つの公理と一つの推論規則(Modus Ponens)
ゲンテェンの自然演繹(NK):一つの公理と複数の推論規則.人間の普通の考え方に近いので「自然」
各命題を真偽の検証が可能な粒度まで落とし込むこと.
まずは論理を検証可能な公理にまで分解し,次に公理から結論が導出できることを形式的に証明し,そして最後に公理が正しいかを確認する,
それが「検証」のステップ
スターアニス事件
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同級生のゆりに誘われてパーティに参加した.
どんな行為が「故意」で,どんな行為が「偶然」かが公理に定義されていること
実際にあった「スターアニス誤食事件」と状況が酷似
スターアニス(八角):中華料理屋東南アジアの料理によく使われるスパイスの一つ
血行促進効果があり,料理のほかに医薬品やアロマの精油にも使われるが,一説には子宮の収縮作用が懸念されていて妊婦や子供が過剰に摂取することは勧められない.
パクチーと同じく個性的な風味
日本には自生しない
「しきみ」の木(ジャパニーズスターアニス):日本に自生しているスターアニスによく似た実をしている.強い毒性を持つ.
問題
スターアニスと「しきみ」を間違えたのが故意か偶然か
動機は数理論理学による推理では利用しない
– 動機の接続詞は論理記号ではない
** 「だから」や「ために」は論理記号に存在しない
– 動機は恒真的事実ではない
あやめさん
探偵役
人の行動原理を人よりも丁寧に考える
「所詮は人間同士,そこまでわかりにくいこともありません.少なくとも,お花の気持ちを知るよりは」
硯さん「見た目清純派の,謎解きが得意な美人花屋店長さんなんて,ちょっとあざといくらいの設定だよね.文庫化して一般受けする表紙にしたらそれなりに売れそう.タイトルは「花屋探偵藍前あやめ~キンモクセイは秋に二度咲く~」みたいな感じで.最後は必ず花言葉でシメるんだよ」
被害者は妊娠しており妊娠
パーティの参加者から妬まれていた
あやめさん説
「もし被害者の妊娠を邪魔するのが目的ならスターアニスだけで十分だった」
「スターアニスの花言葉は「活力」.もしかしたらカフェの店長さんは本当に他意がなかったのかもしれないね」
故意
確定的故意:相手が死ぬ可能性を認識していたにもかかわらず,あえてその行為をしたかどうか
予見可能性:相手が死ぬ可能性を認識していたこと
反対動機の形成:やめることができたこと
硯さん
櫁川さんはパーティ中に庭にあるスターアニスを食べたことがあると嘘をついたため,法律は上は故意に当たると指摘.
イタリアンレストラン事件
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中尊寺先輩
謎中毒者:(addicted to riddle)
経営戦略コンサルタント
毒舌
「まったく.お前にはがっかりだな.がっカリーというカレーを食品メーカーと共同開発したいくらいだ」
PDCA:Plan Do Check Action,仮説,行動,検証,仮説の改善
PDCAサイクルを継続的に回すことで,人類はここまで発展してきた.
ポアロが助手のヘイスティングスに向かっていったそのコーヒーの茶碗には「ストリキニーネが入っていたか,あるいは入っていなかったか」のどちらかなんです!とな
MECE:Mutually exclusive, collectively exhaustive:重複なくもれなく
イタリアンレストラン「アマトリーチェ」の従業員:中川さんとその友人Bと店長
アマトリチャーナ風ブカティーニ
→トマトソースが跳ねやすい
Bさん:白いブラウスの20代のかわいらしい女性
→ずっと片手で胸を押さえていた
人の出入りが激しく容疑者は絞れなかった
イタリアンレストランの従業員は特注で5本しかないネクタイを,珍しいネクタイの結び方クロスノットでしていた
被害者はネクタイで絞殺されていた
被害者が犯行時ネクタイをしていなかった.トマトソースのはねたシミを隠すため,中川さんはBさんにネクタイを貸した
被害者はネクタイで絞殺されていたので,被害者のネクタイではなく犯人のネクタイ,つまりネクタイを持っており,犯行をするチャンスのあった第一発見者の店長が犯人
硯さんのコメント
「はたして中尊寺さんは本当に「被害者がネクタイをしていなかった」ことを証明したのかな?」
「中尊寺さんが証明したのは「被害者がネクタイをつけていなかった」ことではない.「ネクタイをつけていたのは被害者ではなかった」こと」
対偶の証明
含意の論理記号には多くのパラドックスがある.
「必然性のパラドックス」:前提が偽だと常に真
「因果関係のパラドックス」:時間関係が絡むとあり得ない対偶が出てくる
「カラスのパラドックス」:ヘンペルのカラス,対象を観測せずに対象について証明できてしまう「危うさ」
総じて「実質含意のパラドックス」
中尊寺先輩の推理では対偶を用いていた.
命題中の時間軸がずれていてはたとえ現実世界でも排中律は成り立たない.
「中川さんが被害者ならば中川さんはネクタイをしていなかった」のならばの前後の時間軸が違う可能性を指摘.
硯さんの推理
第三者の実行犯Yが友人Bと共犯で殺人を起こした
「中川さんが殺されたのち,ネクタイを奪って中川さんのふりをして,友人Bと接触,その後犯人はネクタイを持ち去った」
この仮説が正しければ,犯人がクロスノットを結べず,防犯カメラにそれが移っている可能性を指摘
*一つになるのは何故犯人はこんな手の込んだ真似を
雪の洋館事件
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レヴィ・ストロースの研究を引用するなら,人間社会の婚姻制度は数学的な群の交換として構造的に記述できる.
その交換ルールをどこまで許容するかは偏に所属する社会の...
探偵:上笠
未来予知能力:7つの大罪の象徴によって,将来起こる不吉な出来事を予見
予見した事件の犠牲者に聖痕が見える
オリガ:腕をけが:両腕が使えない
イリナ:足を怪我
蓮華:館の主
周防:蓮華のマネージャー,オリガやイリナとは初対面
蓮華さんが離れの自室で絞殺
雪は11時には降りやんだ
0時:蓮華が部屋に戻った
0時:周防さんが自室からオリガまたはイリナを目撃
朝6時過ぎ:周防さんが自室からオリガまたはイリナを目撃
庭には一人分の往復の足跡
死亡推定時刻:朝5時~6時
→双子のどちらかが犯人
– 周防さんはイリナかオリガかはケープをしていたため腕は見えなかった
– イリナは午前3時までと6時以降のアリバイがある
– オリガが紅いケープを持っているが,最近見ていない
– 足跡は一人の人間が一回しか踏んでいない
– 足跡に合致する靴は一つしかない(今日初めて来た人の靴を使った)
探偵は5時以降大広間にいた
周防さんが自室に戻るには大広間を通る必要があった
チェーホフ4大戯曲のひとつ3姉妹
オリガ,マーシャ,イリーナ
チェーホフの銃
もし第一章で壁にライフルが掛けてあると述べたならば,第二章か第三章でそれは必ず発砲されなければならない.」
使わない伏線は張ってはいけないという,俗にいう「伏線回収の掟」
聖ペテルブルクのパラドックス
期待値計算が無限大になってしまうが,高い値が出るのは低い確率なので実際にはそれほど大きな値は出ない
探偵:上笠の推理
周防さんが偽証
周防さんの部屋の窓からスタートして部屋の窓まで戻ってきて,窓から自室に入った.
硯さんの推理
三往復した
オリガ(行きを目撃),イリーナ,オリガ(帰りを目撃)
三往復の足跡を互い違いにすることで,一往復分に見せた.
周防さんの曖昧な目撃証言に様相論理を取り入れた
#古典でも行けない?
かみつく蛇
レヴィアタンの隠喩「嫉妬」
最後
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一章のゆりに話すべきか否か,2章のPDCAサイクル,三章の三姉妹
スラブ人画家のアルフォンス・ミュシャは四つの花とされる連作絵
バラ,アイリス,カーネーション,ユリ
「のばら」という名前の母が,子につけた名前があやめとゆりで「なでしこ」が抜けていることを指摘
1番目の事件の被害者が「なでしこ」であった.
2番目3番目の事件はともに被害者一人,犯人二人という配役.まず犯人が特定されず,次に別の人間に嫌疑がかかるという二段構えの構成
主人公は硯さんに自分の立てた計画犯罪に穴がないかを検証させていた.
実際の事件をベースに計画を立て,中尊寺先輩や上笠さんに話して推理を聞き,そこからもう一度練り直して,硯さんにチェックしてもらっていた.
人類は・・・
初、海外(USA)からのブログ更新かもしれない。
ウェルズSF傑作集1
著者 :H・G ウェルズ
翻訳 :阿部 知二
分類 :小説
総合評価 :★★★★
文章 :★★★
内容 :★★★★
言わずと知れた古典SFのタイム・マシンです。
この作品は、簡単に言うと主人公がはるか未来に行って、人類の行く末を見てくるという話です。はるか未来過ぎて、どちらかというと別世界に近いですが、別世界で出合った人間のような生物に(やや強引ではあるが、当時ならではの)解釈をつけているところが非常に興味深いところでした。
この本にはタイムマシンだけでなく、他にも5つの短編小説が収録されています。
子供のころに出合った不思議な現象に端を欲する「塀についたドア」、なぜか急に願ったことが現実になってしまう力を得た「奇跡を起こせる男」、ダイヤモンドを人工的に作れるという人物にであう「ダイヤモンド製造家」、不思議な生物とともに無人島生活を送ることになる「イーピョニルスの島」、別世界がのぞける不思議な水晶「水晶の卵」。
どれも独特な雰囲気を持つ作品で、SFではない要素を取り入れつつ、それぞれに楽しむことができました。
俺達の人生はまだまだこれからだ
久しぶりの更新ということで,
買ってから時間が立って「なんで買ったんだっけ?」と思ってしまった本です.
著者 :歌野 晶午
分類 :小説
総合評価 :★★★
文章 :★★★
内容 :★★★
キャラ :★★★★
この作品のまず最初に興味をひかれる点は,
主人公が元私立探偵で「何でもやってやろう屋」というのが印象のやや個性的なキャラクターというところです.
普通のミステリーを読み飽きて,少し別のジャンルも読んでみようかなと考えている人におすすめできる本でした.
なんで買ったんだっけと思い返してみたら,
この作品は2004年の,「このミステリーがすごい!」の1位ということで見つけた本でした.
本格ミステリーと帯には銘打ってありましたが,
実際はミステリー要素よりも普通の小説としてストーリーを楽しむ事のできる作品でした.
実際,最後まで読んで,「それが言いたかったのか!」という驚きでした.
事件の方は最後まで読んでも,「え?で?どうなったの?」というような部分もあるので少しびっくりしましたが,
一応謎はほぼすべて明らかになっているので,こういうのもありかなと思いました.
広大な自然風景を見ると感情が吸い取られる気分になるよね
著者 :ジェイムズ・P・ホーガン
分類 :推理小説
総合評価 :★★★★
文章 :★★★★
内容 :★★★★★
キャラ :★★★
人類の起源+宇宙ものというSFの代表格です.
若干ミステリー要素もありますが,
どちらかと言うと真相に辿り着くまでの過程を楽しむような作りになっています.
月で人類と思われる生物の死体が発見されるところから始まり,
人類の起源にまでせまるというスケールが徐々に大きくなっていく様子が壮観です.
また,調査によって,いくつかの事実が出る度に,その事実を説明する仮説をいくつも立てて,
徐々に,説明がなされていき,最期に一気に筋を通すところも見どころです.
ハードSFと分類されるようですが,それほど小難しい話が出てくるわけではない(特に後半)ので,
割りと勢いで読める感じです,
理由なく人を殺せるぐらいでないと、狂っているうちには入らないさ
アインズヴァッハの門に元ネタってあるんだろうかと気になっている今日このごろ
著者 :綾辻 行人
分類 :推理小説
総合評価 :★★★★
文章 :★★★★
内容 :★★★★★
キャラ :★★★
キャンプ中に殺人鬼に襲われ,その殺人鬼から逃げて生き延びるというストーリーです.
序文を含めて比較的ヒントが多いので,
「推理可能な小説」に分類可能ではあると思うのですが,
「論理的に推理可能な小説」かどうかは微妙なラインだと思っています.
最初は登場人物が多いので,覚えるのが大変と思っていましたが,
サクサク死んでいくので問題ない(?)です.
ちなみに,こういった推理系の小説は電子書籍だと非常に読みにくいということがわかりました.
スターチャイルド(笑)
2001年宇宙の旅
著者 :アーサー C クラーク
分類 :小説
総合評価 :★★★★
文章 :★★★★
内容 :★★★★
言わずと知れた名作ですが,映画は見たことありません.
映画も一度見てみたいと思っていますが評判を聞けば聞くほど見る気力が(ry
この小説のあとがきもほとんど映画の話なので,あまりぴんとこないあとがきでした.
内容的には全体を通して3つのモノリスが登場し,徐々にモノリスの秘密と狙いが明らかになっていくという流れで,人類史に対する陰謀論的な話です.あとはモノリスとは直接関係なくHAL9000という人工知能が出てきます.
この小説が与えた最も大きな影響は内容ではなく,これら2つの単語なのではないだろうかと思っています.
詳しい説明としてはこちらが非常に優秀でした
http://ja.uncyclopedia.info/wiki/2001%E5%B9%B4%E5%AE%87%E5%AE%99%E3%81%AE%E6%97%85
私は「HALも木から落ちると言うでしょ」のところで爆笑でした.
80分フレンズ
1周間のはじめに一週間フレンズあるの地味に破壊力がある.
著者 :小川洋子
分類 :小説
総合評価 :★★★
文章 :★★★★
内容 :★★★
キャラ :★★★★
80分で記憶がリセットされる博士と家政婦と家政婦の息子(ルート)の話です.
野球の話と数学の話と記憶の話があって,これらが程よくミックスされたような作品です.
ただし,3つも要素があるせいもあり,オイラーの公式に対する言及が少なかったり,いくつかの要素が消化不良のまま終わってる印象を受けました.
逆にいうと,難しい数学の話などはほとんど出てこないので割りと読みやすい本にまとまっている感じでした.
あと記憶喪失ネタに関して思ったことが2点ほどありました.
1つ目は時間制限のある記憶ネタって時々あるけど,実際にそんな病気ってあったりするんだろうか?という疑問で,
2つ目はこういった病気になった場合って自身がどう振る舞うかという問題とか周囲がどう振る舞うかと行った問題があると思うが,実際にはどういった対処法を取ることが多いんだろう?という疑問です.
具体的には,「一週間フレンズ」では記憶喪失の演技であることを疑うという描写があったけど,「博士の愛した数式」ではそういった描写はなかったので,実際の病気の人はそういった問題をどう解決しているのかなどが気になった.
特にこの2つの作品での記憶喪失の登場人物は両方とも割と温和な性格なので物語が深刻になり過ぎないという効果が出ているけども,現実的には元の性格がどういう性格かで苦労の度合いが大きく異なりそうだなと感じました.
コナンは一体何回嘘を付いているでしょう
名探偵コナンで何人死んだかは度々話題に登る問題ですが,
何回嘘を付いているかという問題も気になるところですね.
コナン最大の罪は今のところ証拠捏造がMAXだと思っているが,異存は認める
おかしな兄妹と奇妙な事件
著者 :石崎とも
分類 :小説
総合評価 :★★★
文章 :★★★
内容 :★★★
キャラ :★★★★
始まりが秀逸で,
二人の別々に入った泥棒がある家で偶然出会ってしまい
「私はあなたの妹ですよ。お兄さん」
「実の妹の顔を忘れるなんて兄失格だな」
という会話を交わすシーンが印象的でした.
タイトルは推理小説っぽいですが,あまり,推理小説っぽい側面はなかったです.
もう一つ別に,
あとがきの有名な泥棒を何人か上げている中に怪盗キッドが出てきて,時代の流れを感じた.
猫が生きる意味ではダメですか?
少し前,飛行機の中で「Frozen」というディズニー映画をみたが
タイトルだけ知っていた「アナと雪の女王」だと物語の途中までわからなかった.
だって原題とぜんぜん違うタイトルだし,童話の「雪の女王」と全然違う設定だし...
という残念な話がありました.
著者 :ハインライン
分類 :小説
総合評価 :★★★★★
文章 :★★★★★
内容 :★★★★★
キャラ :★★★★
かなり読みやすいSFの一つだと思います.猫好きやSF好きの人には是非おすすめしたい一冊です.
「夏への扉」というタイトルも面白く,
ネコが冬(特に雪の日)猫用の扉ではなく人間用の扉を逐一確認して,
そのどれかが夏に繋がっていないかと期待していた
という話から始まるSF小説です.
調べてみると原題も「The Door into Summer」で同じタイトルでした
冷凍保存という技術の応用力の高さを表していますね.
時代背景としては近未来を描いています.
冷凍保存は一般化してるけど時間旅行は限定的という状態です.
まぁ,年代的には2000年にはそれらが実現している事になってるんですが,
まだ全然実現までは程遠いですね.