現実の社会って、二足す二を四だといえる自由ありますかね。
思想警察などが出てくるディストピアものの代表みたいな作品です。 いろいろ面白い要素が出てくるのでそれぞれの感想を列挙してみたいと思います。
- テレスクリーン
映像の配信と監視を同時に行う装置らしい。現実だと監視カメラとスクリーンで別々の機械としてあるけど、どうしてこれらをくっつけようと思ったのかは気になる。 - 二分間憎悪
「人民の敵」の映像が流される番組で、言論の自由などを主張するエマニュエル・ゴールドスタインや戦争の敵国などを同時に流し、人々がこれらを罵ることで、恐怖や憎悪といった感情を高ぶらせるためのもの。 あまり意識したことなかったけども、なかなか面白いアイデアだなと思った。現実でもこういうことを考えて政治番組みたいなのってデザインされてるのかな。 ちなみに、エマニュエル・ゴールドスタインが実在するのかは結局わからないという結論でよかったのかな・・・ - プロレ
社会のシステムは、プロレと党員という二階層に分かれており、党員は行政等の役割につき、厳しく監視されており、プロレはそれ以外の監視されず搾取され低い生活水準の生活をしているという社会です。 最後まで、あまりプロレの活躍はなかったけども社会システム的にプロレを監視しないで放置するっていうのはどうなんだろと思った。 - 二重思考
「二重思考とは一つの精神が同時に相矛盾する二つの信条を持ち、その両方とも受け容れられる能力のことをいう。」 たまに、政治家でダブルスタンダードだな。と思うことはあるけども、逆に、これを人民に教育するっていうのは発想の逆転だなと思った。ある意味この作品の世界観を成立させるうえでなくてはならない考え方なのかなと思った。 まあ、これを認めてる時点でかなり多くの命題がまかり通ってしまうので、「二重思考」便利すぎるなという感じはした。 - ニュースピークス
思考は言語に制約される。という考え方をほんとにやってみたという言語。政策に都合の良い文章は自然になり、都合の悪い文は不自然になるといった言語で、巻末にかなり詳細に解説があるので、誰か文章とか正確な再現みたいなの作ってそう。