嵐の夜に帰れなくなったので旅館に泊まろうと思い,
近くの宿に入ったが同じ考えで人が集まっており,
相部屋しか無いと言われたので了承し,指示された部屋に向かってみると
なぜか異形の者たち(人型の妖怪のようであった)が部屋にいて,
相部屋で一晩過ごした
という夢を見た
識別組子とさまよえる不死
著者 :野崎まど
分類 :小説
総合評価 :★★★★★
文章 :★★★★★
内容 :★★★★★
キャラ :★★★★
この本のテーマは「永遠の命」についてです.
「永遠の命」を持っている識別さんが殺されて蘇った識別さんと一緒に
犯人を探すという話です.
永遠の命について考察するとネタバレしそうなので下の方に分けて書きました
また主人公は教師ということで,別のテーマとして「教育」というのもあります.
特に既存の物の限界,今回の場合だと「教育」の限界であるが,
について考えてみると面白い発見がありそうで楽しそうだと思いました.
====<ネタバレ注意>======
この物語のテーマは「永遠の命」,「四角形と五角形の間の図形」,「白なのに黒」
あとがきで面白いことを言っています.
「永遠の命」の仕組みは missing でも出てきた「奈良梨取り」の小崎 摩津方の仕組みに近いものを感じるが,
また新しい永遠の命だなと思った.
その仕組とは「教える」ことにより知識を同期するという方法で,多人数で同期をとることにより永遠と思われるものを実現しています.ただ,「本物」からすると全員を殺せば殺すことができるので永遠ではない「偽物」なのかもしれません.
「勉強」とは何か?どこまで教えられるか?という疑問を突きつけてくれる一冊でした.
また,異なる性質を持つ生物同士で友だちになれるか?という別の命題も出てきました.
自分の答えは,生物的に同じ性質であっても友だちになれるとは限らないし,
ハンデはあるとしても異なる性質を持つ生物と友達になりたいです.
推理モノとして考えると,最初は叙述トリックか?と少し自分を疑ってみたりする場面もあったが,
最終的には予想どおりの人(ただの病んでる系)だった.